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包括遺贈とは、相続人以外の者に相続分を与えることをいいます。
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遺贈には代襲相続はなく、通常受遺者が、相続開始前に死亡したときは効力を失います。上記のように死亡後の指定があるときはその指定に従う。
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「相続分の指定」の方法
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「相続分の指定」とはたとえば配偶者と子供(長男・次男)「財産の2分の1は長男に、2分の1は妻に相続させる」というように、遺言によって相続人の法定相続分を変更することを言います。「相続分の指定」は遺言でしかできません。
相続分の指定をする場合には、必ず相続分全部について指定しておくことです。「財産の2分の1は長男に相続させる」とだけですと、残りの2分の1は妻と次男に均等に相続させるのか、配偶者の相続分は2分の1で次男の相続分はゼロなのかはっきりしないからです。
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【相続分指定の記載例】
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遺言書
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左の通り相続分の指定をする。
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妻 |
佐々木幸代 |
四分の一 |
長女 |
笹原美代 |
二分の一 |
次女 |
菅原京子 |
四分の一 |
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遺言者 佐々木拓朗 印
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「遺産分割方法の指定」をする方法
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「遺産分割の指定」とは「相続財産中の○○所在の土地△△m2と□□社の株式は長男に、●●所在の土地▲▲m2と●●所在の建物は配偶者へ」というように、具体的に財産の分配方法を指定するものです。遺産分割方法が指定されていれば、誰に何が相続されるか明確にしていますから、少々不満があっても、故人の意思として受け入れやすくなります。
なお、一つの物件を共有するような指定もできます。家や土地を、配偶者と長男に共同で相続させたいときは、「○○所在の土地は妻が持分2分の1、長男2分の1の割合で相続させる」と指定すれば、後々の問題がなくなります。
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「認知」の方法
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「認知」とは、非嫡出子を自分の子であると認めることです。認知は生前でも遺言でもできます。
認知の効力は、その子の出生時にまでさかのぼって効力を持ちますから、遺言でしても効力は生じます。
認知を遺言でした場合、遺言執行者が戸籍上の届出をする事になります。遺言で「遺言執行者」も指定しておくべきです。
認知は、胎児・未成年者・成年者・死亡した子(その直系卑属がいるときに限る)にかかわらずできます。ただし、胎児を認知する場合は、その母親の承諾が必要です。また、成年に達した子を認知するには、その子の同意がなければ認知の効力は生じません。
認知された子は非嫡出子となり、相続人の資格を得ます。
相続分は嫡出子の2分の1ですので、もし認知した子に他の実子と同等の財産を与えたいときは、その旨を遺言で指定しておかなければなりません。
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【遺言で認知の記載例】
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遺言書
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壱. |
私は下の者を私の子として認知する。
本籍 福井県福井市文京7丁目111番地
住所 福井市足走二丁目一番一号
池田聖子の子「池田みどり」
生年月日 平成六年参月参日
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弐. |
この遺言の執行者として、私の友人である福井市堀ノ宮8丁目11番地弁護士浅尾忠を指定する。
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平成十五年十月五日
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遺言者 石野進一 印
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「遺留分」
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「遺留分」というのは、相続人が自分の取り分として主張することのできる相続財産における一定の割合をいいます。民法では、被相続人の自由な財産処分権を認めています。その一方相続人(遺留分権利者)の相続権を最低限保護するため、「遺留分」という制度を設けています。
例えば勝手放題の夫が、全財産を愛人に遺贈してしまう遺言を残した場合、残された妻子は最低2分の1を遺留分として取り戻すことができます。
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【遺留分の割合】
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相続人 |
相続人全体の遺留分 |
配偶者の遺留分 |
配偶者と子 |
1/2 |
1/2×1/2=1/4 |
配偶者と直系尊属 |
1/2 |
1/2×2/3=1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 |
1/2 |
1/2 |
配偶者のみ |
1/2 |
1/2 |
子のみ |
1/2 |
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直系尊属のみ |
1/3 |
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兄弟姉妹のみ |
0 |
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【遺留分の計算根拠】
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遺留分として主張すべき具体的な額を算出するには、主張すべき元となる相続財産が、いくらになるかを計算しなければなりません。
遺留分は、相続財産の2分の1とか3分の1というような、抽象的な割合で決められていますので、財産の額は金銭で算定します。
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【遺留分の計算根拠】
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プラスの財産 |
マイナスの財産 |
相続開始のときに有していた財産 |
借入金・未払費用 |
相続開始前一年以内に贈与した財産(不当に低額で売却した場合、売却金額と時価との差額) |
葬儀費用 |
相続開始前一年以上前であっても、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っておこなった贈与財産 |
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婚姻・養子縁組・生計の資本として贈与された財産(特別受益分) |
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「遺留分の放棄」「遺留分減殺請求」の方法
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【「遺留分の放棄」の方法】
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個人事業者や農家などの場合は、後継者一人に遺産を集中させる必要がありますが、他にも相続の権利を有する者がいる場合は等分に分割されてしまうことになり困る事になります。
しかし、相続が開始する前の相続放棄は認められませんから、生前にある程度の贈与をし、その代わり遺留分をあらかじめ放棄させたうえで、遺言を残すのです。つまり、被相続人が生きている間の相続の放棄は認められないが、遺留分の放棄なら認められるということなのです。
遺留分の放棄には、家庭裁判所の許可が必要で、「遺留分放棄の許可の審判」を請求することになります。
家庭裁判所が調査をし、この放棄が本人の自由意思によるもので、生前に被相続人から贈与を受けているなどの正当な理由があるかどうかが判断されます。
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【「遺留分減殺請求」の方法】
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なお、遺言は遺留分を侵害する場合も、遺言としては有効です。ただし、遺留分権利者から遺留分減殺請求された場合は、返還しなければなりません。
この遺留分減殺請求権ですが、相続開始および減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ってから1年以内に請求しないと、時効によって消滅します。
また、知らなくても相続開始から10年間を経過しても同様です。
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